環境要因を総合的に評価した劣化環境マップの作成
コンクリート構造物の劣化には，塩害，中性化，凍害，アルカリシリカ反応，疲労といった様々な原因があります．これらには多くの環境要因が作用しており，構造物の劣化は様々な要因が複雑に絡み合い作用しているといえます．そこで本研究では，気象データや交通量から各劣化作用について地域ごとに評価し，それらを重ね合わせることで総合的なコンクリートの劣化環境を評価し，マップを作成することを目的としています．これにより，劣化環境を設計や維持管理に反映させたり，発生した劣化における各劣化作用の寄与度の解明に役立つと考えられます．
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| 新潟県各地域における総合劣化指標の分布 | 新潟県における劣化度の高い橋梁の密度 |
薄板モルタル供試体を用いた構造物各部位の劣化環境評価
コンクリート構造物の劣化にはコンクリート内部の含水状態や塩分が大きく関わっています．またこれらの劣化因子の侵入は，構造物全体で均一ではなく部位によって異なるものであり，当然劣化の進行も部位ごとに異なります．しかし現状では，これらを局所的な環境を定量的に評価することは困難です．そこで本研究室では．「薄板モルタル供試体」を用いた評価手法の確立を目指しています．この手法によって短期間かつ非破壊で構造物部位ごとの評価が可能になります．最終的にはこの手法で評価された水掛かり，塩分から構造物各部位における劣化予測を可能にします．この方法が確立されれば，LCC(ライフサイクルコスト)低減につながり，社会的意義が大きな研究といえます．
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| 薄板モルタル供試体の橋梁への設置の様子 | 設置された薄板モルタル供試体 |
材料分離後のコンクリートの部位ごとの劣化抵抗性の違いに関する研究
同一構造物でも部位によって劣化の進行が異なるのは，劣化作用と劣化抵抗性が部位によって異なっているからです．本研究では，部位ごとの劣化抵抗性の違いを引き起こす要因として，材料分離後の骨材の偏在に着目して研究を行っています．骨材はセメントペーストと比べて物質移動抵抗性が高く，骨材量が少ない部位では劣化進行が大きくなります．この研究によって，材料分離後の骨材の偏在の傾向を把握することができれば，劣化進行の大きい箇所の予測が可能となり，効率的な維持管理につながると考えられます．
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局所環境条件や材料特性を考慮した補修後の再劣化予測に関する研究
コンクリート構造物内部の鉄筋の腐食は，構造物周辺の居所的環境条件や使用する材料，補修工法など，様々な要因の影響を受けます．また，補修実施後の補修部・未補修部など，構造物内部で性質が異なる部分においては，マクロセル腐食と呼ばれる危険な腐食形態が発生することが知られています．本研究ではこれらの要因を解析上で再現し，鉄筋の腐食の大きさを評価する手法を研究しています．この腐食解析の精度が向上すれば，様々な補修工法における再劣化を予測でき，より効率的な維持管理が行えることが期待されます．
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| 解析対象（断面修復を行ったT桁） | 補修条件と再劣化までの期間の関係 |
講義一覧
学部
- 建設材料学
- 様々な材料が建設材料として使用されていることを理解し，力学的視点だけではなく，物理化学的視点を交えて材料を捉えることで，社会基盤構造物設計時において，要求性能に見合った適切な材料の選択ができるようになることをねらいとする．
- コンクリート工学Ⅰ
- コンクリ－トを構成しているセメント，水，骨材，混和材料などの種類や品質，配合がコンクリ－トに及ぼす影響について理解する．
- コンクリート工学Ⅱ
- 配合や環境条件がコンクリ－トの性能に及ぼす影響，コンクリート構造物の維持管理の基礎について理解する．また，配合設計の方法を修得する．さらに，鉄筋コンクリート構造の基礎的な力学を理解する．
- コンクリート構造工学
- 鉄筋コンクリートの限界状態設計法を修得する．また，プレストレストコンクリートの基礎を理解する．
材料・構造実験
測量学
測量学実習
社会基盤応用数理及び演習Ⅰ
社会基盤応用数理及び演習Ⅱ
応用物理実験
技術英語Ⅰ
大学院博士前期課程
- コンクリート工学特論
- コンクリート構造物の劣化と維持管理について学ぶ．
- 維持管理工学特論
- 環境材料論
